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【よくある間違い2】バリアフリーリフォーム(所得税)減税

ユニットバスの交換は対象にならない?
リフォーム減税で【よくある間違い】の第2回、
今回は増改築等工事証明書で依頼の多い減税種類の2番目、
バリアフリーリフォーム所得税減税についてです。

【よくある間違い1】省エネリフォーム(所得税)減税の記事はこちら
【よくある間違い3】住宅ローン減税の記事はこちら

※以下、バリアフリーリフォームの所得税減税の説明となります。固定資産税は要件が異なります。

当社が増改築等工事証明書を発行するために​は、工事写真や契約書、見積書に図面等々、
準備いただく書類が多く、消費者の方もリフォーム工事事業者の協力を得たりして
やっと集めた書類を郵便で送ってくださいます。
けっこうな手間をかけて集めた書類を、せっかく送っていただいたのに、
「増改築等工事証明書を発行できませんでした」と報告するのは、私も心苦しいです。

という理由で、書類を準備する前に、ぜひ知っておいていただきたい事項を、ブログにしました。

増改築等工事証明書を発行できないケースで、とても多いのが
古いユニットバスを、新しいユニットバスに交換して出入り口の段差がなくなったので、
バリアフリーリフォーム減税を申告したい。
というご依頼です。

当社では、

ユニットバスを交換しただけの工事では、
ほとんどの場合、増改築等工事証明書を発行できません。

ただし、これは当社建築士の判断ですので、もしかしたら発行できるという機関もあるかもしれません。

反対に、
在来浴室(タイルのお風呂等)を解体してユニットバスに改修
した場合は、ほとんどの場合で減税の対象とります。
それはなぜ?
理由を説明する前に、まずはバリアフリーリフォーム所得税減税の対象となる工事および、
それぞれの工事費用計算のもととなる「標準的な工事費用」一覧をごらんください。
以下の表に記載されていない工事は、バリアフリーリフォーム減税の対象となりません。
また、この標準的な工事費用の合計額から補助金等の支給額を差し引いた金額が、
バリアフリーリフォーム所得税減税の要件である「50万円を超えること」
が、まずは必要です。

バリアフリーリフォーム減税標準的な工事費用.png

上表の中で、一般的な浴室改修工事で対象となっている工事の要件について、
(一社)住宅リフォーム推進協議会発行の「リフォーム減税の手引き」という本に沿って、
当社の判断について説明していきます。

https://www.j-reform.com/zeisei/pdf/zeiseiR4_honpen.pdf

■まずは①の、「出入り口の幅を拡張するもの」
1.png

【該当する工事】 ○ 壁、柱、ドア、床材等の撤去や取替え等の 工事 ○ 通路や出入口の幅を拡張する工事と併せて 行う幅木の設置、柱の面取りや、通路等の幅を拡張する工事に伴って取替えが必要となった壁の断熱材入りの壁への取替え等の一体工事

「ユニットバスをユニットバスに交換した結果、ドアの幅が少し広くなった」
という工事は、当社では対象工事とみなしません。


■次に、「浴室の床面積を増加させる工事」
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【該当する工事】
○ 壁、柱、ドア、床材等の撤去、取替え
○ 一体工事として行う給排水設備の移設等の工事
○ 浴室の床面積を増加させるための浴室の位置の移動
○ 一体工事として浴室の床面積を増加させる工事に伴って行う仮浴室の設置
○ 浴室の床面積を増加させる工事と併せて行う脱衣室の床面積を増加させる工事

さらに備考として、以下の記載があります。

次の①及び②に該当すること
①工事後の床面積がおおむね 1.8㎡以上
②短辺の内法寸法がおおむね 1,200mm 以上

以前は「1坪タイプのユニットバス1616」だったものを、同じ1坪タイプでも1717のユニットバスに交換した。
という工事は、対象工事とみなしません。


■「浴槽をまたぎ高さの低いものに取り替える工事」
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箇所数あたりの工事単価がすごく高いことがおわかりいただけるかと思います。

【該当する工事】 ○ 浴槽をまたぎ高さの低いものに取り替える 工事に伴って行う給排水設備の移設等の工事

つまり、高額の工事単価529,100円に該当する工事として考えられるのは、
「在来浴室(タイルのお風呂等)の浴槽を交換するために、既存浴槽を解体して掘り起こし、新しい浴槽に取り替える際に必要となる給排水等工事」であり、

「ユニットバスを交換した結果、以前の浴槽より、またぎ高さが低くなった」という場合は含まない。
というのが、当社の判断となります。

その他、
・水栓金具の交換は、工事前にも「高齢者等の身体の洗浄を容易にする水栓器具」がついていた場合は対象外
・手すりの設置は、工事前にも同じ位置についていた場合は対象外
・開き戸を折れ戸や引き戸に取り替えるは、工事前が「ドア」であった場合のみが対象
と。それぞれ判断しています。
「リフォーム工事をしたことによって結果的に改良、改善された」というよりも、
「バリアフリーリフォーム工事を実施することによって、改善、改良する」ことが重要となります。


■「浴室出入り口の段差の解消または段差を小さくする工事」
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段差解消工事については、該当しない工事について以下記載があります。

【該当しない工事】 × 取り付けに当たって工事を伴わない段差解消板、スロープ等の設置

また、「段差を小さくする」の許容範囲については、
当社では高齢者等配慮対策等級4以上のマニュアルに沿って判断しています。

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つまり、浴室出入り口段差の場合は、「工事前より工事後の段差が少なくなり、かつ、
工事後の段差が2cm以下であること」を要件とみなしています。


■最後に「浴室の床をすべりにくいものに取り替える工事」
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これに該当するのは、浴室等の床材が、カタログ等に「すべりにくい」と記載されているもので、
以下の場合を除きます。

 

【該当しない工事】 × 滑り止め溶剤の塗布やテープシールの貼付けによる表面処理のみを行うもの

【該当する例】TOTOユニットバスの、ほっカラリ床、LIXILユニットバスのキレイサーモフロアは、
 いずれもカタログに「すべりにくい」と記載されています。他のメーカーの製品についても
 カタログに「すべりにくい」等の記載があれば該当すると判断します。
ユニットバス交換の場合は、該当する工事が少ない
バリアフリーリフォーム減税の申請要件のひとつに、
■バリアフリーリフォーム減税(所得税)対象工事の標準的な工事費用相当額から補助金等を引いた額が50万円超(税込)であること■
とあります。
ユニットバスをユニットバスに交換する工事だったら、標準的な工事費用の合計はいくらになるか、
以下の例をごらんください。仮に、赤枠内の工事が該当したとします。

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標準的な工事費用の合計は50万円を超えないので、減税の要件を満たしません。
では、ユニットバス交換工事のほかに、「便器の取り替え」も一緒に実施したらどうなるでしょう。
和式の便器を洋式の大便器に交換した場合は、「便器を座便式のものに取り替える工事」が該当しますが、
今回試算では、一般的に工事が多い「工事前と比べて便器の座高が高くなった」場合で計算します。
あわせて、トイレのドアを折れ戸に交換したとします。

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これだと標準的な工事費用の合計が50万円を超えたので、補助金等を支給されないのであれば、
減税の要件「50万円を超えること」は満たします。
在来浴室(タイルのお風呂)をユニットバスに改修した場合の試算
ユニットバスの交換と比べると、在来浴室をユニットバスに改修した場合は、
「浴槽のまたぎ高さを低くする工事」を算入できるので、ぐっと要件をクリアしやすくなります。

9.png
標準的な工事費用の合計が709,270円ですので、
介護保険やこどもエコ住まいで補助金が支給されたとしても、20万円以内なら、
なんとか「50万円を超えること」という要件は満たしそうです。
工事前と工事後の写真について

当社に増改築等工事証明書の発行を依頼される場合は、
工事前と工事後の写真を見比べて、
「バリアフリーリフォーム工事が実施された」ことがわかることが必要です。
対象工事ごとの写真撮影のポイントです。
●段差解消・・・工事前の段差が何ミリあって、工事後の段差が解消または何ミリあるかわかるようにメジャー等をあてた写真および、床の張替え(上張りは不可)をした場合は、工事前の床が撤去されたことがわかる工事中の写真
●便器の高さや浴槽のまたぎ高さ改良・・・工事前工事後のそれぞれの高さが何ミリあるかわかるようにメジャー等をあてた写真
●出入り口等の幅の拡張・・・工事前工事後の出入り口等の幅が何ミリあるかわかるようにメジャー等をあてた写真
●出入り口ドアを折れ戸や引き戸に交換・・・工事前のドアの写真と、工事後の折れ戸または引き戸の写真
●手すり、水栓金具、滑りにくい床等・・・それぞれの工事前、工事後写真
●浴室やトイレの床面積を増加させる工事・・・工事前、工事後の図面に浴室やトイレの寸法が記載されており、工事後に床面積が増加したことが図面でわかること、および工事前後の写真
以下の見本を参照ください。

10.png
工事が終わったあとで「後付け」減税をするのは難しい!
減税のことを何も知らずに工事をし、
おわったあとで、人に聞いたり、税務署で聞いたりして、
「バリアフリーリフォーム減税が使えるかも!?」と気づいた場合は、
以上のような要件が満たされず、または工事写真を撮影していなかったので
減税申請できない、という結果になることも。
せひ工事見積の段階からバリアフリーリフォーム減税について情報収集して、
標準的な工事費用が50万円を超えるには、どんな工事が必要になるかを
工事事業者様と一緒に計画されてください。

その他のバリアフリーリフォーム減税の要件は、以下をご確認ください。
住宅リフォーム推進協議会の手引き書「バリアフリーリフォーム減税」について
https://www.j-reform.com/zeisei/pdf/zeiseiR4_2-bf1.pdf

バリアフリーリフォーム減税、省エネリフォーム減税について、この記事を読んでもよくわからない!という場合は、必ず事前にお電話でお問い合わせください。(メールではお答えするのが難しいです)

【よくある間違い1】省エネリフォーム(所得税)減税の記事はこちら
【よくある間違い3】住宅ローン減税の記事はこちら

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